奈良県の世界遺産・特別史跡・特別名勝・国宝建造物・文化的景観・伝統的建造物群保存地区リスト
世界遺産について
・世界遺産は、193ヵ国が参加する国際機関ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産条約に基づいて、人類の遺産(不動産のみ)を未来に引き継ごうとする活動。人間の手による「文化遺産」、人間の関っていない「自然遺産」、両方を兼ね備えた「複合遺産」がある。一定の基準で審査されて世界遺産に登録される。
・日本の世界遺産は23件。文化遺産は、日光の社寺、富士山-信仰の対象と芸術の源泉など19件、自然遺産は、屋久島、知床など4件、複合遺産の登録はない。
・奈良県内には3件の世界遺産がある(表を参照)。1993年12月に登録された法隆寺地域の仏教建造物、1998年12月に登録された古都奈良の文化財、2004年7月に登録された紀伊山地の霊場と参詣道。日本で世界遺産が3件もあるのは奈良県だけ。
・法隆寺地域の仏教建造物(斑鳩町)は、兵庫県の姫路城と共に、日本で最初に登録された世界遺産。世界最古の木造建築物である法隆寺と法起寺で構成されている。
・古都奈良の文化財(奈良市)は、国宝(建造物)を有し遺産の敷地全域が史跡等に指定されている東大寺・春日大社など6つの寺社と、特別史跡の平城旧跡、特別天然記念物の春日山原始林の計8つの資産で構成されている。この8ヵ所の名所旧跡が奈良市を代表する観光名所と言える。
・紀伊山地の霊場と参詣道は、奈良県・和歌山県・三重県にわたる世界遺産。9世紀以降に形成された、吉野・大峯、熊野三山、高野山と呼ばれる顕著な三つの霊場とそれらを結ぶ参詣道が構成要素。法隆寺エリアや古都奈良エリアほどアクセスは容易ではない。
文化財について
・文化財は、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群から成る(文化財保護法)。奈良県は京都府と並んで、日本の中で最も文化財の多い地域である。以下は観光の手助けになる建造物関係の文化財の種類についての解説であり、表は奈良県内の建造物関係の文化財リストである。
有形文化財
・有形文化財は、大きく建造物と美術工芸品(絵画・彫刻・工芸品・書跡・典籍・古文書・考古資料・歴史資料等)に分かれる。文化庁は文化審議会の答申に基づいて、有形文化財のうち重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定している。
・重要文化財(建造物)は、全国で2509件で、うち203件が奈良県にある。重要文化財(建造物)のうち国宝(建造物)に指定されているものは全国で227件で、そのうち64件が奈良県内に所在している。
・重要文化財(美術工芸品)は、全国で10717件で、うち1096件が奈良県にある。重要文化財(美術工芸品)のうち国宝(美術工芸品)に指定されているものは全国で893件で、そのうち163件が奈良県内にある。
記念物
・記念物は、史跡、名勝、天然記念物の総称。
・史跡は、貝塚・古墳・都城跡・城跡・旧宅・社寺跡・治水施設・交通施設等の遺跡で、我が国にとって歴史上または学術上価値の高いもの。すべて人工のものである。特に重要なものについては特別史跡に指定されている。全国に63件の特別史跡があり、うち10件が奈良県にある。
・名勝は、庭園・公園・花樹・橋梁・峡谷・瀑布・洞窟・海浜・山岳・展望地点等の名勝地で、我が国にとって芸術上または鑑賞上価値の高いもの。人工のものと自然のものがある。自然のものも人為的に保護されている。特に重要なものについては特別名勝に指定されている。全国に36件の特別名勝があり、うち2件が奈良県にある。
・天然記念物は、動物・植物・地質鉱物・天然保護区域で我が国にとって学術上価値の高いもの。すべて自然のものであるが人為的に保護されている。特に重要なものについては特別天然記念物に指定している。全国に75件の特別天然記念物がある。奈良県内にある特別天然記念物は春日山原始林1件。
文化的景観
・文化的景観は、地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの。全国で65件の重要文化的景観が選定されている。奈良県内には選定地はない。
伝統的建造物群保存地区
・全国の市町村が、城下町、宿場町、門前町など伝統的建造物群保存地区を決定し条例に基づき保存活用を進めている。国はその中から重要伝統的建造物群保存地区を選定して、保存事業を支援する枠組み。全国100市町村で120地区が選定されており、奈良県では、橿原市、五条市、宇陀市から3地区が選ばれている。
・橿原市今井町(寺内町・在郷町):奈良盆地南部に位置し、中世末期に寺内町として成立し、江戸中期までに南大和地方における商業の中心地として発展した旧環濠で囲まれた保存地区には、中世末期の寺内町形成から近世の在郷町へと発展する市街地形態が良く残っている。近世から近代の質の高いかつ優れた意匠の町家を中心に、重厚で 高密度 の歴史的市街地となっている。面積約17.4ha。
・五條市五條新町(商家町):吉野川(紀ノ川)の支流の西川東岸に広がる五條と、吉野川北岸を並行に通る旧紀州街道(伊勢街道)沿いに広がる新町の二つの異なる町並み計約7ha。保存地区内に330の建物があるが、うち伝統的建造物156件、国指定重要文化財1件、市指定文化財1件。中世に起源が遡る五條の町並みは、間口と奥行の異なる不規則な町割が施され、大規模な町家が面的に広がる。一方、近世初頭に二見城の城下町として成立した新町は、間口と奥行の揃った敷地割を持つ町家が直線的に築かれている。江戸時代初めまでに成立した町割をよく残し、江戸時代の重厚な町家が多く建ち並ぶ密度の高い町並みを形成し、南大和地域に栄えた商家町としての歴史的風致を今日によく伝えている。
・宇陀市松山(商家町):城下町から商家町へと発展した町。城山と宇陀川の間をのびる通り沿いには、江戸時代から昭和初期に至る様々な年代の建物が並び、戦国時代に整備された地割りを残す。また、地区の南端で宇陀川から引かれた水は、町の中心部では通りの両側を走り、この水の流れが町並みに加わることで、さらに独特な景観をつくりだしている。面積約17ha。
         
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(注1)件数はすべて2020年10月1日時点。
(注2)奈良県にある国宝(美術工芸品)についてのリストは件数が多すぎて作成しなかった。文化庁のデータベースを参照。
(注3)用語の定義・内容等は、文化庁・自治体等による。
(注4)掲載情報は変更される場合があります。ご利用の際には公式サイトで確認してください。
奈良県を代表する観光スポットは世界遺産に記載されている